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IT製品の「導入効果」とはつまり何なのか、つきつめて考えてみる

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     IT製品の事例を書くときは、「導入効果」を詳しく書くことが重要です。

    それが簡易ツールなのか、仮想サーバなどインフラなのか、生産管理システムやERPなど大規模システムなのか、個別の製品ジャンルごとに導入効果は異なります。

    しかし、そこをさらにつきつめて考え、「どんなIT製品にも共通する導入事例」を抽象的・普遍的に把握したい。そうすれば、どんな製品の事例を作る場合でも、その根本原理に立ち返れば、一応の導入効果が記述できるので、便利です。



    ■ IT製品の導入効果は、究極のところ、次の3点に集約できる。

    これまで何百本ものIT導入事例を作ってきましたが、その経験からいって、「IT製品の導入効果」は、最終的には、次の3点に集約できます。

    1.効率化・コスト削減
    2.属人化の低減
    3.基盤の確立


    ■ 導入効果1.2.「効率化・コスト削減」、「属人化の低減」

    効率化とは、「今までもがんばればできていたが、IT製品を導入して、今はもっとラクに、よりよくできるようになった」ということです。コスト削減とは、「今までもできてはいたが、お金がかかっていた。しかしIT製品を導入したので、かかるお金が減った」ということです。抽象的には、効率化とは「単位投入労力あたりの成果量が増えること」であり、コスト削減とは、「単位成果あたりの投入資源量が減ること」です。

    次に属人化の低減とは、「以前はある人ならできていたが、別の人にはできなかった。しかし、ITツールを導入したので、誰でもできるようになった」ということです。


    ■ 導入効果3.「基盤の確立」

    「基盤」を導入効果として表す場合、「仮想サーバの導入により、今後の情報基盤が確立しました」、「ERPの導入により、弊社が今後、経営戦略を遂行していく上での情報基盤が整いました」、「生産管理システムを導入したことで、ものづくりを一層、深化させるための基盤が確立しました」のように使います。

    基盤とは、土台のことです。建築の場合ですと、まず基盤(基礎)を固め、その後に何らかの建築物も建てます。また、鉄道網なども、経済発展のための基盤(インフラ)といえるでしょう。明治・大正時代に遡りますと、以前は、街道しかなかったところに、輸送力の高い、鉄道網を作りました。これにより、大量・高速のモノ・人の行き来が可能になる。経済はより発展するでしょう、というわけです。

    つまり、基盤の確立とは、「将来、何らかの良い状態を実現させるための、前段階の基礎固め」です。

    ここで注意すべきは、「何らかの良い状態」、「本当の意味での果実」を実現するのは、「基盤」ではなく、その上に「乗っかる何か」だということです。


    ■ ITは、「できない」を「できる」に変えるものではない。

    先ほどの3つの導入効果を読んで、「なんだか今イチ、パッとしないなあ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

    「以前もがんばればできていたけど、IT導入で、ラクにできるようになった」とか、「以前はある人しかできなかったけど、今はIT導入で誰でもできるようになった」とか、結局、昔もできてたわけじゃん、「できる → できる」じゃん。そうじゃなくて、もっとこう、不可能が可能になるような、「できない」がIT導入で「できる」、そういう「不可能を可能にする」のような、もっと劇的な導入効果はないの!? と。

    この問いについて、結論から答えますと、村中は、ITというのはそもそもが不可能を可能にする類の道具ではない、と考えています。


    ■ 不可能を可能にする、の例

    何らかの商品が不可能を可能にした例としては、青色LEDがあります。従来、LEDは、赤と緑がありましたが、青が作れませんでした。しかし、徳島 日亜化学の中村さんが青色LEDを発明しました。これで赤、緑、青と色の三原色が揃ったので、従来は不可能だった、信号機のLED化が、可能になりました。

    今のは「発明」により不可能が可能になった例ですが、もう少し単純な話ですと、建設業における重機、運送業における大型トラックが例として出せます。ある中小建設会社では、これまで重機がなかったので、大規模な仕事が受注できなかった。しかし、借金して重機を導入したので、仕事が来るようになった、という例。あるいは中小の運送会社で、今までは大型トラックがなかったので、大きな仕事が取れなかったが、この度、設備投資して導入したので、大きな仕事も受けられるようになったとか。

    これらは、「自然科学系のイノベーションにより、従来の不可能が可能になった」、「設備の増強により、今まで取れなかった仕事が取れるようになった」ということです。

    一方のIT製品ですが、これほど劇的に「できないができるになる」効果はちょっと考えにくい。

    たとえば、「○○を導入したことで、今まで受注できなかった仕事が受注できるようになりました」、「○○を導入したことで、今まで作れなかったモノが作れるようになりました」という作文があったとして、○○の部分に、「仮想サーバ」、「ERP」、「SFA」、「CRM」、「生産管理システム」、「シングルサインオン」、「ストレージ容量削減化ツール」、「EDI」、「BI」、「ネットワーク管理ツール」、「ビデオ会議」、「eラーニング」などなど各種IT製品ジャンルを入れて見れば分かりますが、いずれも文章がしっくりこないですよね。

    一方、「青色LEDの発明により、今まで不可能だったLED信号灯が可能になりました」「重機の導入により、今まで受注できなかった大きい仕事が受注できるようになりました」ならしっくり来るのですが。


    ■ ITは基本的には社内業務をよりよくするツールなので、「不可能→可能」にはなじまない。

    青色LEDも最終商品であるLED信号灯の一部です。大型重機は、客先の工事現場で、大きな重いものを運ぶ・砕くための機械です。要するに、「会社の外」で価値を生み出すものです。

    一方のIT製品、すなわち「仮想サーバ」、「ERP」、「SFA」、「CRM」、「シングルサインオン」、「ストレージ容量削減化ツール」、「EDI」、「BI」、「ネットワーク管理ツール」、「ビデオ会議」、「eラーニング」などは、これらを並べてみれわかるとおり、すべて「社内業務に関連するもの」、つまり「会社の中」で価値を生み出すものです。

    社内業務に、「不可能」はありません。ERPがなくても、財務諸表は作れますし、SFAがなくても営業はできますし、CRMがなくてもマーケティングはできますし、ビデオ会議がなくても出張すれば遠くの人には会えます。青色LEDがない以上、LED信号灯は作れないっていうような不可能はないですよ。

    つまり、昔でも何とかできてた。それがIT製品の導入で、よりよく、よりラクにできるようになった、ということです。


    ■ 作文による検証

    ITが不可能を可能にするツールではないというのは、次のような作文実験でも明らかです。

    まず次の文章

    「青色LEDの発明で、LED信号灯が作れるようになった」
        → 「昔は青色LEDがなかったので、LED信号灯は作れなかった」

    「大型重機を導入したので、重機が必要な大きな仕事が受注できるようになった」
        → 「昔は大型重機がなかったので、大きな仕事が受注できなかった」

    これはOKですね。では次の文章

    「ERPの導入で、管理会計ができるようになった」
    「SFAの導入で、良い営業ができるようになった」
    「CRMの導入で、良いマーケティングができるようになった」
    「生産管理システムの導入で、納期通りの生産ができるようになった」

    これ、何だか、違和感ないですか?。私はあります。

    この違和感の源泉は、文章をひっくり返すと、明らかになります。

    「以前はERPがなかったので、管理会計ができなかった」
    「以前はSFAがなかったので、良い営業ができなかった」
    「以前はCRMがなかったので、良いマーケティングができなかった」
    「以前は生産管理システムがなかったので、納期通りの生産ができなかった」

    これはありえないと思いますし、また、導入事例の取材先企業として、こんなロジックは絶対に許せません。

    たとえば、「以前は生産管理システムがなかったので、納期通りの生産ができなかった」なんてことは、もしそれがホントだとしたら、そこって相当にダメな工場ですよね。そんな内容の事例が、世に公開されることを取材先が許すはずがありません。

    つまり、「ITは、何かをより良くするツールであっても、不可能を可能にするツールではない」ということに加え、「もし仮にITが何かの不可能を可能にしていたとしても、そんな話を事例として世の中に公開することは、取材先企業が許さない」というわけです。

    IT導入事例では、「昔は出来なかった→今は出来た」、「昔はダメだった→今はよくなった」というロジックは許されません。

    許されるのは「昔もがんばればできた → 今はより効率的にできる」か、「昔はまあまあだった → 今はもっとよくなった」というロジックだけです。


    ■ 「基盤の確立」は、とてもITぽい導入効果。

    ここで、第三の導入効果、「基盤の確立」を考えてみましょう。これは、ややボヤッとしていますが、大規模IT導入効果としてはけっこう王道だと思います。論理的にもつじつまがあいます。

    「鉄道網の敷設により、将来の経済発展の基盤を確立する」
    「高速道路の敷設により、物流・輸送の基盤を確立する」

    「仮想サーバの導入で、弊社の情報基盤が確立した」
    「ERPの導入により、全社的な管理会計の基盤が確立した」
    「生産管理システムの導入により、顧客第一の生産体制を拡充するための基盤が確立した」

    これらは、やや漠然としていますが、どれも文章のつじつまは合っています。いずれも根本ロジックは、「今でもそこそこOKなんだけど、将来のために、万全の準備をした(オレって先見の明!)」というものです。自己否定にはつながらないので、取材先にも受け入れられます。

    「基盤の確立」は「効率化・コスト削減」、「属人性の低減」とはまた別の導入効果です。あいまいな分だけ、耳あたりがよく、どんな製品にもくっつけられますが、しかし、あんまり濫用すると説得力が低下するので、注意が必要です。



    ■ ITが不可能を可能にできるのなら、そもそも導入事例は必要ない。

    青色LEDの発明でLED信号灯が実現した話、これに導入事例が必要でしょうか。

    いらないですね。こういう自然科学系のイノベーションに事例など不要です。

    一方、ITというのは、効果があいまいで、あんまりハッキリせず、劇的でない商品なので、だから導入事例のような説明資料が必要になるのです。

    ですから、IT導入事例に、不可能を可能にしたような劇的な効果を記述したいと願うのは、実は根本のところでつじつまがあっていないのではないかと、村中としてはそう考えます。


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