猛烈に面白い、映画 「ロボット」
インド映画最高の制作費37億円をかけ、全アジアで興行収入100億円を突破する大ヒット映画、「ロボット」を渋谷TOEIに見に行きましたが、聞きしに優るおもしろさでした。
ストーリーは、天才科学者が作り上げた、何でもできるすごい人間型ロボットが博士の恋人に適わぬ恋をしてしまい、そして大暴走する…というものですが、全編にわたり、アクションとロマンスと踊りが交代に登場する、とても楽しいエンターテイメント映画になっています。
では、どこが良かったのか、三つ書いてみたいと思います。
良かったところ1. 「人間がCGに勝っている」
CGなのにおもしろい映画は初めてでした。
最近は、精巧なCGがたいへん発達してきて、ハリウッド映画でも、町が空へめくれ上がったり、最終戦争や大災害の様子がリアルに描かれたりしていますが、正直、ぜんぜん面白くありません。面白くない理由は、おそらくCG技術が作り手のアイディアの貧困さを穴埋めしているように見えるからだと思います。人間がCGに負けているのです。
一方、このロボットの後半アクションシーンでロボット軍団が巨大組み体操モードになるところのCGは、すんごい楽しかったです。人間の発想力の方が、CG技術を大幅に上回っていました。
良かったところ2.「ゴージャスな、実写版 峰不二子」
この映画のヒロインは、93年ミス・ワールドにも輝いたインド映画の美人女優ナンバーワン、アイシュワリヤーラーイですが、そのアイシュが見事な美貌とプロポーションで、主人公とロボットの二人を翻弄していました。美貌とプロポーションで男達を翻弄するといえば、アニメ、ルパン三世の峰不二子が有名なキャラクターですが、今回の華やかなアイシュワリヤーは、そんなヒロインの実写版であるかのように思えました。
ところで「実写版 峰不二子」が成り立つには、演じる女優に美貌とプロポーションが備わっているだけでは不十分です。まわりの設定に適度な荒唐無稽さが必要であり、またその女優を追いかける主演男優にもスーパーパワーが必要です。そのパワーが場を歪め、映画全体が現実から浮遊させないかぎり、いくらキレイでグラマーな女優が出ていても、単なる「キレイでグラマーな人」にしか見えないからです。
良かったところ3.「ロボットなのにギトギトの、スーパースターラジニカーント」
というわけで、今回、アイシュワリヤーラーイを、実写版 峰不二子たらしめていたのは、本人の魅力だけでなく、主演男優のラジニカーントのギトギトさが重要だっだと思います。
映画の前半、科学者の恋人として出てくるアイシュワリヤーは親しみやすい女子大生ですが、後半、悪のロボットに横恋慕され、とらわれのお姫様となってからのアイシュワリヤーは、服装も目つきも振る舞いも妖艶になり、どんどん峰不二子化してきます。美女が美女たるには野獣が必要なのだと改めて分かりました。
今回は、天才科学者と、その科学者が作った人間型ロボットの一人二役ですが、博士の方がおとなしめのインテリであるのに対し、ロボットの方は、機械なのに脂ぎっており絶倫的であり変態的であり、そのロボットが自らを複製して帝国を作り、アイシュワリヤーラーイをさらって閉じこめて結婚を迫るあたりで、映画は現実から完全に足を離していました。ラジニカーントとアイシュワリヤー、この二人が揃えば、映画がCG負けするはずもありません。インドでは想像を絶する大人気を誇る、このラジニカーント、何と今年で62歳とのことでした。
映画「ロボット」は渋谷TOEIで公開中。インド映画ならではのダンスシーンが満載の完全版はあと一週間しか公開していません。みなさん、ぜひ、見に行きましょう。
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- 2012.06.03 Sunday
- その他
- 17:55
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- by 村中明彦