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「かわいい」とはどういうことか

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    趣味、日本語についてあれこれ考えること、です。今日は「かわいい」について考えてみます。
     
    アメリカでは、ホット(hot)な女性がモテますが、日本では、かわいい女の子がモテます。しかし、この「かわいい」という言葉、日本語では、女性に対してだけでなく、部下に対して「あいつはかわいいヤツだよ」、子供や猫に対して「かわいくてしかたがない」のようにも使います。あるいは女性が上司に対し「部長って、かわいい」と言って、部長が困惑しながらもどぎまぎするというシーンもあります。かわいいの動詞は可愛がるですが、相撲部屋で「可愛がってやれ」というと、「厳しく稽古をつけてやれ」という意味になります。かわいいという言葉はなぜこのように使用範囲が幅広いのでしょうか。

    国語学者、大野晋の著作、「日本語の年輪」に意外なことが書いてあります。


    六、七百年前には「かわいい」は、見るに耐えない、という意味だった。
    兼好法師の『徒然草』には、酒飲みの様子を書いて、「大路をよろよろと歩いて行き、土塀や門の下などに向いて、口にも出せないことをしちらし、年老いて袈裟をかけた坊さんが、小坊主の方を押さえて、わけの分からぬことを言いながらよろめいているのは、全くかわいい」と言っている。まともに見るに耐えないというのである。


    (中略)


    かわいいの古い形はカハユシである。カハユシは顔(カオ)ハユシのつまった形であるという。ハユシは照り映える感じだということ。つまり、顔がほてるようだというのが語源である。物を見て、顔がほてる気持ちだとは、物をまともに見るに耐えないのであり、相手をいたいたしく思い、かわいそうだと感じるようになって行く。


    (中略)


    かわいさが、あわれみを表現するようになると、それは恋慕の気持へ移っていく。



    この解説で分かることは、かわいいとは、あわれむ気持ちがもとの意味だということです。現代日本語のかわいいとは、「幼さに根ざした愛らしさ」なので、この説明は辻褄があいます。

    あわれみである以上、それは「上位者から下意者へ」という形でしか発動しない言葉になります。露骨にいうならば、かわいいとは、「自分より弱い者に対して感じる感情」なのです。このことは、かわいいに、さらに「そう」という語尾をつけると、「かわいそう」になることからも明確です。


    そう考えると、「男から見て女の子がかわいい」「上司から見て部下がかわいい」「親から見て子供が、飼い主から見て猫がかわいい」「相撲部屋で兄弟子が新弟子を『かわいがる』」などの語法に、一本の筋が通っていきます。


    女性が上司に対し「部長ってかわいい」と表現するパターンは、かよわい女であり、また目下の立場でもある女の自分が、あえて部長を目下に見るという、価値の逆転を起こしているわけです。たいていは、その価値逆転の根拠は、その女性の魅力であることが多いようです。これは女性にしか使えないやり方です。もし男性部下が男性上司に対し、「部長、かわいいですね」といったら、相当、場が凍り付きます。


    何でもテキパキ自分でこなす、表面上は非の打ち所のない部下に対し、上司が「だけどあいつはかわいげがない」とくやしそうに言うことがあります。これは、「上位者であるはずの自分が、下位者の部下に、まったく、かまえない」状態が少し腹立たしいわけです。たとえば勝間和代さんを部下に持った男性上司などが腹立ち紛れにこの言葉を使いそうです。この言葉の根底にある望みは、「もっとオレの顔を立ててくれ」です。

    「かわいい女の子」と「かわいい女」は、言葉はほぼ同じなのに、意味するところは違います。前者は外見の描写ですが、後者は内面を表しています。「女」という言葉に、幼さの要素はなく、ということは、「女」に「かわいい」という形容詞をつけるのは、ちょっと似つかわしくないわけです。この言葉は、一般には「かわいい女になりたい」「かわいい女になれなくて」のように使います。つまり、「かわいい女」は、無理して努力してなるもののようです。努力で改善が可能なのは、外見よりはむしろ内面であり、それが「かわいい女」が内面を表している所以ではないかと思います。


    男性は、女性から「○○君てかわいい」と面と向かって言われると、困惑とどぎまぎの両方の感情を感じます。なぜ困惑するかというと、身体的には自分より弱いはずの女性が、魅力という力を使って、自分に対して強者のポジションを取ってくるからだと思います。「かわいい」と言われた男性は、一瞬は「ばかにするな」とかすかに感じますが、しかし、本当に「ばかにするな」と口に出して怒ったら、これは大変に大人げない。なぜかというと、目の前にいる女性は「自分より(身体的に)弱い者」だからです。こうして、言われた男の側はどうしていいか分からない、出口のない状態にはまっていきます。困ったものです。こうして相手の言葉によって自分が困らされている状態は、何となく恋愛ぽい世界です。そうして、困惑がかすかなどぎまぎに変わっていきます。


    女性が男性に向けて「かわいい」という場合、そこに母性本能が含まれていることが多々あります。どんな男も母親という女性から生まれたのであり、その意味では、女性は男性に対し必ず上位にあります。だから女性は男性に対し「かわいい」という言葉が使えるわけです。

    以上、「かわいい」という言葉について、いろいろ考えてみました。


    ※ P.S:
    というわけで「かわいい」は英語にしづらい言葉であり、向こうでも「KAWAII」と言っているようです。Yahoo新語探検で次のような記事を見つけました。


    日本語の「かわいい」が英語圏、フランス語圏などに輸出され、そのまま定着しつつある。「かわいい」を表現する英語には「cute(キュート)」があるが、これは気が利いてかわいらしいさまや、活発な女の子を形容することばで、日本製のアニメ・キャラクターの多くがもっている「幼さに根ざした愛らしさ」というニュアンスを含んでいない。そのため、「カワイイ」をローマ字書きしたものがそのまま使われるようになりつつある。英語圏などのアニメを紹介するホームページのタイトルに、この「kawaii」がよく使われている。
    http://dic.yahoo.co.jp/newword?ref=1&index=2004000324


     



     


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